降り来る言葉 LXII/木立 悟
 
は曲がり
そのままでいる
舟は 
海にも空にも着けずにさまよう


傷を隠し 傷は増える
吹雪を従わせようとして
何も見えなくなる
そのあいだにも幾つかの
季節の引き継ぎが行われてゆく


雨が緑と砂を持ち去り
横たわる人を置いてゆく
いつまでも目覚めぬ人
空にも雪にも無にもなる人


雨や機械や
はらわたの音
指や光をなぞる光
分かれつづける声の色
誰もが誰かの赤子ではなく


ばらばらの鳥が
ばらばらのまま動き出し
冬は冬を隠して明るい
ところどころ
隠しきれずにあふれさせながら


蒼がむらさきになるあいだ
星はひとつ息つぎ
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