降り来る言葉 LXIII/木立 悟
 






歩みの内に散る色が
音を音に書きとめる
文字と文字と文字の間に
瞼と瞳を忘れながら


夜の窓の
二重の背
霧は霧を咬む
陰を 淡くする


午後とこがね
こがねの血
挿絵のような
動き 動き無さ


空の氷を見つめる子
指のひとつひとつに踊る曇
手のひらに書かれた
鉛の地図


誰も見ない機械を見るものが
うたをひとつ重ねゆく
光をすぎても
見える光


建物 拒絶
祝福の無さ
白と黒の
片目の広さ


浪に洗われ
岩は指になり
凍えながら 壊死(しに)ながら
音になれない稲妻を指す



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