降り来る言葉 LXII/木立 悟
 
つぎをする
雨の扉 立ちふさがりひらかれ
河口へ河口へ倒れゆく


手の甲にはかつて十の目があり
人の背に消える道を見たのだという
だがそれでいいのかもしれない
救世主を肩にかついでも
救世主を見ることはできないのだから


緑が橙に変わり
蓋を咬み
夜は終わる
境界を作るものたちが
動きはじめる


雨は発ち 冬は発ち
手のひらは消えくりかえし現われ
水たまりの径の水たまりすべてを
まばゆい舟がすぎてゆく


凍える指で鎖をつなぎ
やがて再び 鎖を断つ
痣だらけの鏡に映る原には
こがね色の子とけだものが居て
まばたきと笑みを交わしながら
四季の口笛を吹いている



























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