降り来る言葉 XV/木立 悟
 


見えない光のなか
両腕をひらくと
波打ち際に
捧げものが打ち寄せる
まわりつづける羽の窓
羽のかたちに燃える窓



光を赦す声を背に
風に濡れて立っている
捧げものを抱きかかえ
まわりつづける羽を見つめる
鏡に映る鏡のように
白をひたした絵筆のように



行方のない空の光と
行方のない空の火が
人影と音を照らしている
何者かの左目を照らしている
白の歌を染めてゆく波
かすれ声に雨はやむ
海の上には弦の曇
まわりながら解けてゆく窓
まわりながら火に孵る羽



頂を知らない光は
音を引き連れ
気まぐれに引き裂き
塔と塔の間
[次のページ]
   グループ"降り来る言葉"
   Point(2)