降り来る言葉 XVI/木立 悟
微笑みの半分が翼で
空の半分が月で
呼びあって 呼びあって
微笑んでいる
夜に咲く花
触れられたことのない花
もっと小さなうたを歌う
もっとしっかり小さく歌う
世界の半分の羽のため
世界の半分の羽のため
腰帯の下の秘密と
髪飾りの絵の秘密
独楽のような石
手毬のような石
ころがし ころがし
光に指をひたすひと
手のひらの上の行方の菓子
ひとつひとつ舌にのせ
溶けて流れるその先の
あなたの迷路をかがやかせてゆく
追いつけない
追いつかない
動物にも植物にも分けられない笑み
目を閉じた笑み
金の笑み
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