降り来る言葉 XV?/木立 悟
 



ふくらみを抱いたふくらみの横で
かがやきの子はじっとしていた
青しか見えない青の下
息のような明るさの下
午後のふりをした午後のあつまり



誰が造ったのか忘れ去られた
岩の寺院に冬が来ていた
灰と銀の油彩の光が
崖を静かに照らしていた



水かさを増す空を飛ぶ
線の鳥 文字の鳥
波に浮かぶ傷の鳥
青と鈍の目を漂う鳥



兄弟たち 姉妹たちの歌が流れていた
鍵を持っているのに家に入れず
子は分かれてゆく雲を見ていた
手は泣いていた
雪は泣いていた
土の上の光が
滴を受けとめた



触れたことがあるはずだった
どこ
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