降り来る言葉 XIX/木立 悟
硝子の車輪
木のからだ
眠るものの目
すぎゆく羅紗
散る花と花
車輪の内に
まわる一音
虹彩の舟
陽にあせた窓枠に幾つか浮かぶ
硝子の球の表面には
消えてしまったはずの雪
聞こえない音が置いてゆく揺れ
そこには居ない水たまりが映る
何かが焦げつづけるにおいが
街の奥へとひろがってゆく
出会いも別れもない道が
赤く赤くのびてゆく
遠い光の音はとどき
影を大きくたなびかせてゆく
花を手にしてうつむいたまま
森の入口から先へと進めない子が
街の灯りを伏せ目がちに見ている
森の終わりには墓があり
鳥のかたちに隠されている
[次のページ]
前 次 グループ"降り来る言葉"
編 削 Point(2)