降り来る言葉 XXI/木立 悟
朝の海には光しかなく
頂をすぎる風
うすい雲を呼吸するものには
既にそれは海ではなく
折りめ正しい紙の翼の
つけ根に震える飛べない心
枯れ葉の熱に渦まく白金
土が持つ光のひび割れが
緑のかけらに分かれてゆく日
鉛は草の路のはた
したたる音を見つめている
あせた土から飛び立つ羽が
あせた色を皆持ち去って
水に触れては生まれる水
無垢な心を孕ませてゆく
高く高く遠去かり
何日も何日も戻らぬ陽
月を隠した雲の底
光は叫び こだまして
地からは分からぬ重なりを
円錐の世に乗せてゆく
このかたちは手のかたち
血の色の
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