降り来る言葉 XLI/木立 悟
 





眠りかけた猫の横
雨も生もゆうるり過ぎる
階段にだけ残る水滴
たたずむものを映しつづける


明るさのなか
明るさを知らず
光をこぼす光を見つめ
からだの半分が泣きつづけている


鉄と緑
磨耗の空
波は傷に疵に行き交う
暗がりをふくらみを震わせる


きまりのないものに
挑んでは散る
水のかたち
外のかたち


窓の下の窓にこぼれ
捉えられずに消え去るもの
偏る重さを誰が見つめる
橋と氷のはざまに沈む


なぜそんなにも隠しごとが下手なのか
ほんの数歩で忘れながら
ありのままの緑 ありのままの金
なぜおのれの元
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