降り来る言葉 XLII/木立 悟
 
炎は言葉
波は言葉 言葉は言葉


渦まくものに到かない
それでも生きて それでも生きる
おまえがおまえでなくなる道は
おまえが思うほど哀しくはない


水に触れずに波紋となるもの
降りそそぐ舞
切り絵の影の
切りとり忘れた亀裂のかたち


みな笑っているのに笑っていない
目の前で笑っているのに笑っていない
こんなにもこんなにも楽しいことを
話したくて話したくて話しているのに


降伏する人々の
背中から撃っている
穴の数は
掘っても掘っても足りない


どっちつかずの狂おしさに
たましいを喰われている
身をふせるように くずおれるように
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