降り来る言葉 XLVIII/木立 悟
半分の半分にちぎられた紙
熱は残りつづける
光沢として 塩基として
在るがままに在り 消えほどけ
光りかがやきながら憶えられない
同じ向きに振り返りゆく横顔の
常なる常なる虚ろを負う
夜の氷に仮面を並べ
いつか離れる日々を夢みた
消えても消えても消えても消えても
氷はそこに在りつづけるのに
半分が半分を呼びつづける間も
ひとつはひとつでなくなってゆく
羽を羽に寝かしつけて
息は冬に暮れてゆく
もうこれ以上
進めない場所にある
黒と白を抄い
水にひたす
その場所には
その場所の水がある
十億楽章 十二楽章
皆そこに
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