降り来る言葉 XLVII/木立 悟
 






右手が
左手を透り先へゆく
何かに触れる
何かを透り
さらに先へ


おおら おおら
ときく ときく
揺れに満ちる水
すきまなくすきまなく
兆しではなく 鼓動ではなく


水のくちばし
ひとつを双つに
分けてひとつの
水のくちばし
流れの横溢


泡もなく
溶けることもなく
うすいみどり
杭へ杭へ
傾くみどり


沁み震え響く
白のかたち
青のかたち
廃園の径をひたす影
雑なる雑に欠けつづける午後


洗うでもなく 剥がすでもなく
手と水と何かを
混ぜようとしている
そこに無いものが 
降りそそい
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