ヒューム「ベルグソンの芸術論」(1)/藤原 実
 
ことを、百も承知していながら、われわれはそこに、明確な輪郭をそなえた別別の事物を見る。

われわれの多くは、ものをそのあるがままに見ることなく、ただ、言語として具象化せられている有り合わせの諸類型を、見るのみである。
            (T.E.ヒューム「ベルグソンの芸術論」『ヒューマニズムと芸術の哲学』[訳]長谷川鑛平:法政大学出版局)


ヒュームによれば芸術家とは、ものを「ただ、言語として具象化せられている有り合わせの諸類型」としか見られないわれわれと違って、「ものをその現にあるがままに見ることのできる人」のことです。
そういう芸術家の視線、ベル
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