ヒューム「ベルグソンの芸術論」(1)/藤原 実
 

            (『時間と自由』)

 
だと言います。


もし実在(リアリティ)が感性や意識と直接に接触し得るものとしたら、芸術は無用であろう、いな、むしろ、われわれすべてが芸術家となるであろう。芸術家たちの見るこれらのものは、すべて、現にあるものである。だのに、われわれにはそれが見えない――というのは、だが、なぜだろう。

何人も熟知している事実だが、常人は事物をそのあるがままには見ないで、ただ或る「固定した類型」を見るにすぎない。まず第一に、事実として、現にあるのは単に色彩の連続した濃淡の移り行きほかならないこと
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