ヒューム「ベルグソンの芸術論」(1)/藤原 実
 
、その響きは用を超えた一種かたくなな自己充足感を有していて、耳を脅かす。それは食卓の上に置かれる。また、人の手につかまれる。しばしば人の手からすべり落ちる
            (谷川俊太郎「コップへの不可能な接近」) 


私たちは通常「私たちの個人的な意識の微妙で捉えがたい印象を押し潰すか、あるいは少なくとも覆い隠して」しまっており、「私たちはもはや、私たちがそのイメージを凝固させた等質的空間のなかでしか、またそれらにありきたりの色合いを貸し与える言葉を通してしか、それらの状態を捉えなくなる」とベルクソンは言います。そして、やがて私たちには「存在が区別ある諸
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