ヒューム「ベルグソンの芸術論」(1)/藤原 実
 
という疑問に突き当たってしまった。
 望遠鏡や顕微鏡の飛躍的な発達と写真術の開発というビジュアル革命に伴って、次々に登場したさまざまな「像」は、キャロルに哲学的問題を投げかけ、作中のアリスを悩ませてしまったようである。
           (桑原茂夫『チェシャ猫はどこへ行ったか―ルイス・キャロルの写真術』:河出書房新社)


身体の遠近法だけでなく、『アリス』の世界においては、名称と意味というコトバの主客は転倒し、主語述語という論理と文法の遠近法も完膚無きまでに破壊されています。

レンズを通すことによって世界はさかさまの像として印画紙に写しとられるわけで
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