ヒューム「ベルグソンの芸術論」(1)/藤原 実
 
りこませているのです。
また『不思議の国のアリス』でウサギ穴に落ちたアリスは、ちいさなドアから見える不思議の国の美しい庭を歩いてみたいと思いますが、ドアをくぐり抜けることができません。そこでアリスは考えます――「望遠鏡」のようにからだをちぢめることができたら!、と。そして、その後アリスははまさに望遠鏡からのぞく像がのびちぢみするように、大きくなったり小さくなったり、めまぐるしく変化します。


 当然アリスは何度も不安に襲われることになる。自分の体の大きさがそうしょっちゅう変わってしまっては、どれが本当の自分なのかわからなくなって、しまいには「わたしは誰なの?」とい
[次のページ]
   グループ"『世界の詩論』(青土社)を読む"
   Point(8)