ヒューム「ベルグソンの芸術論」(1)/藤原 実
 
っていたわ」
 われわれは、グリフィスがハリウッドの映画館ではじめて画面いっぱいの大写しを見せ、巨大な《切りおとされた首》が観客に向かって笑いかけたとき、観客のあいだにどんな大騒ぎが起ったかを知っている。
…見落としてならぬのは、新しい表象を作り出す能力、ひとつの高度な文化が、ほんの短時日のうちに発達したことである。僅かな年月のあいだに、映像言語を理解し、映像から推論し、映像の遠近法や映像の暗喩や映像の象徴を読みとるすべを、いかによくわれわれが学んだかということを、今日のわれわれはまったく忘れている。僅か二十年のうちに、ひとつの偉大な視覚文化が成立したのである。
        (ベラ・バラ
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