ヒューム「ベルグソンの芸術論」(1)/藤原 実
 
言語の領域において「私」の絶対化としてあらわれたのが、十九世紀のロマン主義だった、というわけです。


二十世紀初頭、「<私>を破壊して、部品交換可能な機械人間で置き換えるのだ」(「未来派文学の技術的宣言」)と宣言したのは、未来派のマリネッティ(1876-1944)です。


自動車や飛行機の大きなスピードは、遠いさまざまな地点を速やかに抱擁し比較対照すること、すなわち類比の仕事を機械的にすることを可能にする。たくさん旅する者は、機械的に才知を獲得し、離れた物を体系的に見、それらをたがいに比較することによってそれらに接近し、その深い魅力を発見する。大きなスピード
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