ヒューム「ベルグソンの芸術論」(2)/藤原 実
からカンディンスキーを応用するがいい。形と色彩の言語に関する彼の文章を、そのまま詩作にあてはめることができる。
……形と色彩の言語についてのカンディンスキーの文章を読んだとき、私には新しいことは殆どなにもなかった。他人も私が理解したことと同じことを理解して、それを明瞭に書いているな、と感じただけだった。ある芸術家が、すばらしい女性たちの肖像画を描いたり、象徴主義者たちが言うとおりに聖母を描いたりするのに劣らない喜びを、平面の配列や物体の模様に感じうるということは、きわめて当然のように思われる。
精神(マインド)と呼ぶに値する精神の持ち主なら、だれも既存の言語の範ちゅうを越えた欲求をきっ
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