ヒューム「ベルグソンの芸術論」(3)/藤原 実
ワーズワスの「詩とは力強い情感がおのずから溢れ出たもの」というコトバが示すようにロマン派の詩人達は人間を無限の可能性を持った湧き出る泉のような存在として考えました。それに対してヒュームは人間というのはきわめて限定された存在で、例えれば一個のバケツのようなものにすぎないと言います。
ヒュームに言わせれば「ロマン主義」というのは、コトバの病を患っているようなものです。世界を「ひとつ」の固定した視点から遠近法的に「ことごとく包括」しようとすること――しかし、「それは象徴的言語の病気」であり、本来「世界は、言語を絶したもの」であり、われわれの言語というのはただ世界の部分々々、断片である、「燃えがら」を寄
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