「……十九世紀においては、詩人は文明からの逃避者として現われ、二十世紀にあっては文明の批判者として現われていることに注意しなければならない。イギリスのエリオット、オーデン、スペンダー、フランスにおけるヴァレリー、アラゴン、エマニュエル等、いずれもそうした近代文明の批判者として現われている。
近代詩から現代詩にいたる約百年間における詩人の社会的役割のこのような変化に注目することは、われわれにとって特に重要である。T.E.ヒュームをイギリスにおけるこうした傾向をつくりだした先駆者として認めるとき、彼の憂鬱なこころ、そして彼の泥の眼が、十九世紀的なボードレールの苦悩やラン
[次のページ]
前 次 グループ"『世界の詩論』(青土社)を読む"
編 削 Point(3)