ヒューム「ベルグソンの芸術論」(2)/藤原 実
 
のころ未来派芸術に出会い衝撃を受けます。やがて彼らの思想の底流にベルクソン哲学が流れているのを知り、ベルクソンの著作も読みあさります。
未来派のマニフェスト文を写し取って教科書の間に挟んでいたタルホ少年は数年後、作家となります。彼はイタリア未来派が葬り去った月の代わりに、ブリキで作ったお月様を黒いボール紙製の天に貼りつけてみせています。



    ある夜倉庫のかげで聞いた話

「お月様が出ているね」
「あいつはブリキ製です」
「なに、ブリキ製だって?」
「ええどうせ旦那 ニッケルメッキですよ」(自分が聞いたのはこれだけ)

       (稲垣足
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