ヒューム「ベルグソンの芸術論」(2)/藤原 実
 
、と言っていたのは、あきらかに抽象概念を避け、論理の骨組みをしりぞけて、イメージ群だけで構成するような表現を意味していたはずである。主題や題材を否定することは、言語表現では、体系的な論理構造を否定することにほかならない。いわば絵画における輪郭線の否定、文章における文法の否定、建造物における支柱の否定と同じようなもので、一種の自己矛盾である。」
「彼らは具象レベルに留まるために、論理や体系を拒絶して、事物が視覚器官に印象づけたイメージの粒子を直接的に書きとめることにした。画家が輪郭線を排除して点描法を工夫する。文学者は意識の流れや独白、モンタージュ、断想化などの技法を開発して、小説でも詩でもシンタ
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