ヒューム「ベルグソンの芸術論」(2)/藤原 実
 
どんな眺めも、ほかのすべてを説明するという口実をもってそれにとって代わるということがなくなります。」
      (ベルクソン「変化の知覚」)


 
抽象化を嫌い、純粋な感覚のみを記述しようとするのはイマジズムに限らず十九世紀後半から二十世紀にかけての芸術の大きな特徴となります。
二十世紀芸術のさまざまな技法もこの純粋感覚に達するための試行錯誤から生まれています。


「フローベルが、美しい小説はとくにこれという主題のない小説、ちょうど支えるものもなく中天にかかっている地球のように、その文体の力だけで成立しているような作品だ、と
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