ヒューム「ベルグソンの芸術論」(3)/藤原 実
 
えている」

「どんな観照に徹した写実主義の文学すら、その真理の深さに於て、感傷的なる恋愛詩の一篇にすら及ばないのだ。故に賢人パスカルはこれを言った。曰く、感情は理智の知らない真理を知っていると。」

        萩原朔太郎『詩の原理』

という朔太郎のロマン主義の詩学からすれば、

「透明な思考というのは論理的に透明というのではなく絵画的の意味である。しかもピカソの透明性というのは絵画上の意味の透明性ではない。線と色彩それ自身の発する透明性をいう。
透明な思考を使用した文学作品はその作品の意味を不透明にする。我々はもはや作品
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