ヒューム「ベルグソンの芸術論」(3)/藤原 実
 
へと永遠に墜落を繰り返します。
そしてこの詩はハンス・アルプ(1886-1966)とダダについてのウィルヘルム・ヘックの考察を引用しながら、そのナンセンス論を展開する種村季弘の次のような文章をぼくに思い出させます。

「『自分自身と対決させられるとき、人は何者と向かい合うのか?…(中略)…この愛すべきものはたちまち、その底の見究めがたい……奈落と化するのだ。鏡のなかのおのれの姿を見据えつつ、この奈落に引き寄せられて、きらめく表面の背後を補足し透視してみれば、このときわれわれは、ひたすらおのれ自身にのみ関わり、おのれ自身のみを求めて、ありようは底なしの、家具もなにもない
[次のページ]
   グループ"『世界の詩論』(青土社)を読む"
   Point(2)