冷めた水?(1987.2・12,13)/木立 悟
朝陽は腐乱の象徴であり、夕陽は永遠の投影のようだ。あれら飛ぶもの、黒くひろがる亀裂という蛇、警告の業、予言の業は夜めざめ、朝を認識しないまま夜に死ぬ。イカロスの首、徒歩の宇宙、蒸された国がそれと同時に起き上がる。合法的な違憲者が掲げる氷。
秘めやかな欲望、ささやかな殺人、ビヒモスの蹄。もろもろの丘、窓ではない窓、ねじれ、よじれ、物語に生えた目。風はふくらむ。去勢栗鼠の声。
土を掘る音、骨を突く音が家々を囲む。木乃伊の視座。象の背の水滴。時の毛穴に性を投げ捨て、あらゆる帰化がはじまろうとしている。におい、不可視の塔、矛盾はもう亡い。
泥棒!泥棒!・・・・・聖を感じる恐怖にさい
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