冷めた水?(1986.12・30)/木立 悟
最近、よく喉を詰まらせる。それも食べ物ではなく、飲み物を飲んでいる時だけ、詰まらせるのだ。何故なのかわからないが、そうなってしまうと一分以上、咳が止まらなくなる。最初のうちは苦しいが、一分を過ぎるころになると、意識が身体から離れはじめ、咳をし続ける自分自身がおかしくてたまらなくなる。しまいには「いつまで続くんだろう。咳の数でも数えようか」などという考えが浮かんできたりする。
やっと咳が止まった後も、日常的な出来事がひとつ過ぎたという感覚で、「今、恐ろしいことが起こった」とか「このまま死んだら悲惨だ」とかいう思いは全く無く、「苦しさ」よりは「意志では制御できない肉の反応」のほ
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