俺と死神 −夕焼け眼鏡−/蒸発王
 
かしたら俺の眼鏡で代用がきくかもしれないと思い
今までかけていたオレンジフレームの眼鏡を外した
きっと俺よりもこの子のほうがオレンジが良く似合う
女の子はお礼を言いながらも
外した眼鏡がどこにあるかも解らないみたいだったので
失礼して俺が耳にかけてあげた


瞬間

女の子が消えた
唖然としていると頬に薄い羽音が掠めた
見ると一匹の赤トンボが俺の目の前をくるりと廻って
家の谷間に溶ける太陽にむかって
お家に向かって
小さく消えて行った
俺がじぃちゃんからもらったのは
トンボの眼鏡だったのか

ここまで考えて


俺は全てを悟ってしまった


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