死神と私 −旅に出るから−/蒸発王
 

“その名前で呼ばないで下さい”
“約束ですよ”


昔の夢から目をさますと
見なれた白い天井が水晶体に写りました
ベットから見える空の色は群青色に染まっています
いつのまにか眠って
もう夜のようです

本当に昔の夢でした

私はまだほんの子供で
死神の名付け親と初めて会ったときの夢です
死神と会ってやっと私は両親が死んだことを受け入れたのでしょう
その夜は一晩中涙が枯れるまで泣きました
色白と言われる頬を真っ赤に染めて泣く私を
死神は一晩中添い寝をしてあやしてくれました
そして
幼い私がうっかり
死神に『     』と言うと
死神は凄くうれしそうに

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