海を渡る(マリーノ超特急)/角田寿星
便ばかりが走っている
急げ 急いで海を渡れ
列車がぼくらを飲みこむ前に
ぼくらの運命が
サイコロのように決まってしまう前に
「線路のまわりの波はおだやかで
はるか向こうには灯台がかすんでいる
口笛を吹きながら渡った
私を祝福する太陽と空と海と線路と
旅の道連れにウミネコの泣き声と
駅までの道のりはけして退屈しない
「われわれの旅程の
妨げとなるのは高波だけではない
強い紫外線と海風は確実に体力を消耗させる
波に洗われる線路は
常に横揺れをくり返し
海を渡るわれわれを拒絶するかのようだ
「そして今やかなしいことに
イルカ
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