「灯台のある岬をめぐる」駅にて(マリーノ超特急)/角田寿星
岬の陸続きに密生する森には、たえず湿ったカーテンがかかっ
ていて、それが灯台の守りをするぼくらとの境界線だった。上
から下へ、あるいは奈落へ、数字のように降り注ぐ水のカーテ
ン。けしてぼくらの踏めない森。
灯台は、海から陸を護るように、長い直線となって両翼を突き
出している。海を走る特急列車は必然的に、そのカーヴでおお
きく減速し、やがて「灯台のある岬をめぐる」駅に停車する。
深夜の、あまりに静かな到着に、岬にいるぼくらは誰も気付か
ない。
ときおり密生する森をぬけて、野生馬が小さな平地を訪れる。
ながいタテガミと水をはじく皮膚を持った、背の低い瑞の馬た
ちだ。馬
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