夢(一) 全文/沼谷香澄
 
e>はなびらのなかやわらかな乱反射。家の東の露草の花
私の千葉はおばさんの居所でもある。父の妹。愛情を拒むもの。父の娘。愛情を拒むもの。父の妻。支配によって愛するもの。父は小さいものを慈しむように女を愛したかった。
性ではなく、愛。性ではなく、性ではなく、愛。私は、一生に一回だけ、父を抱きしめなくてはならないのだろう。そういう意味で私は父を愛しているのだろう。
落とされて足元に泣くあかんぼは縋る事しかできんだろうが
磯の臭いが続く。
もしそこに山がなければ今ごろは焼き殺されていた
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   グループ"個人誌「Tongue」収録作"
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