夢(一) 全文/沼谷香澄
 
罪ですか?罰せられるほどの罪ですか?意志に反して膨れる目蓋
あまねく世間に潜在する、父を客に母を遣手婆に持つ全てのエレンディラたちに私は涙する。わたしはやられていない。だれにもやられていない。
大事なものは知人に盜まれるものだ担任と三人輪になって踊った
「まあ、勘弁してあげなさいよ」と言う人の不在がことをややこしくした。長い長い不在。全ての人々が老いさらばえるまでの不在。今からでも遅くはない。まあ、勘弁してあげなさいよ。はいわかりました。なんだこの腑抜けたダイアログは。

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