【批評祭参加作品】「へんてこな作家」という親愛の情/石川敬大
 
             ―――『となりのカフカ』池内 紀 (光文社新書)を読んで

 カフカといえばあの、「悪い夢に出てきそう」な、虫になる男の「悪魔じみ」た「小説」、『変身』を思いおこす読者が大部分なのではないだろうか。したがって、迷宮的(夢魔的)作家でこそあれ、カミュのように太陽が似合う向日的な作家とは想われないのかもしれないのだけれど(実際、サラリーマンであった彼は夜を徹して小説を書いた)、カフカはけっこう「よく笑った」らしい。スポーツが好きで、水泳が得意、ボートを漕いだり、乗馬をしたりと、意外にもイメージに反するアウトドア派の一面を持っていたことに、まず驚く。

 さらに、「妻と
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   グループ"第5回批評祭参加作品"
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