【批評祭参加作品】わかンない!/藪木二郎
小説の場合、著者が提供しているのは図式だけで、作品を完成させるのは批評だったり、読者側での読書行為だったりするのだという考え方が、ある程度でしょうが、承認されているように思います。たとえばあの『文学部唯野教授』の講義などにも、そうした考え方を紹介している部分が、あったように思います。
ところが詩の場合、詩とは詩でしか表現できないもののことだ、といったような定義もあるようでして、にも関わらず、ある詩に対して批評が加えられるというようなことが起こるとしたら、そうした場合、それは詩ではないと、言われてしまっているようなものだと思うのです。
実際、詩についての批評の多くが、こんなものは詩ではない
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