月の嗤うさき5〜6/……とある蛙
 
下をうろつく
長い筒の道具をもった
自分と似た獣(ヒト)に敵意を感じる

大声を上げて枝から舞う
自分と似た獣は脅えた目を彼に向け
長い筒を構えたが
頭上から獣の頭を斜めに
頭を斜めに叩くと
簡単に頭蓋骨は砕けちり
脳漿は付近に散乱
獣は息絶えた。

理由は不明だが
彼は大声を上げて駆け出した。
何かが切れて
彼の頭蓋骨の中では
天に指びさした時の声が聞こえる

イザナミ イザナミ

行け イザナギ

早く片端を孕ませろ

かたわ?

       6

類人猿の頭蓋骨に響く声
道行きの一際高い杉の木の
頂上に類人猿はよじ登る。


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