月の嗤うさき7/……とある蛙
 
成り成りして成り会わないところと
成り成りして成り余っているところを
刺しふさぎて

霧に包まれた丘の上に浮かぶ洋館
その二階の出窓は開け放たれ
類人猿の咆哮が丘の下まで響き渡る

すべて霧の中 洋館の輪郭は滲んでいる

咆哮する類人猿
じっと視線をこちらに向けたまま
直接頭に語りかける。
落ち着いた意識で

しかし

イザナミ?

私はイザナミでは無い。
おまえは最初のヒトではない。
歩き疲れた猿ではないか。
私はおまえを知らない
私はおまえと何を語ればよいのだ
おまえの子など孕めない
片端しか

突然穏やかな意識は荒れ狂い
意識の中ですら
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