月の嗤うさき/……とある蛙
 

碧く淀んだ沼の天空に
鈍く光る月明かりを
じっと受けている猿一匹
沼の水面から首を出し
辺りに潜む得体の知れない瘴気を伺い
この沼が池だった頃の
(猿の)古老の話を思い出すも
早くこの沼を抜けねばと決意し、
沼の不知を巡りながら
湿気の多いくさむらを抜け出した。
あとは山を下りるための坂道を転げ落ちるようにして
疾走した。
とりあえず疾走した。
沼周辺の瘴気に包み込まれて引き摺り戻されないよう
猿の名はイザナギ
天を指さし直立した猿

沼地から離れずいたがついに
離れる決意をし、池だった頃の面影のない沼を棄て、
係累から疎まれていた彼に後悔はない。
歩い
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