あの家の鎧戸が
開いてるところを見たことがない
ここに越してから
ずっと
表札はない
人が住んでいる気配も
ときおり
玄関ポストに落とされる
手紙
軒先に吊された軍手
....
きみは髪留めをもらった
母からの誕生日プレゼントだった
青と赤のガラスを
茶色のゴムがつないで
ゆらせばカチカチと
きれいな音がした
きみは毎日それを
学校につけていった
アメリカ ....
きみが跳ねると
青と赤のガラス玉が
ぶつかって
カチカチと音をたてた
秋からこっち
そのままの
藻のプールの水面を
ギーチョンが滑っていく
ほら
音楽室の窓から
ツバメが
透 ....
目が覚めて
昨日の夕食で朝食
元気なく出かける
昼休み
車内でパンを食べ
展望台で歌っていたら
ダイジョウブデスカと
片言で心配される
帰り道
急にお腹が痛くなって
インスタントの ....
落ちていきそうな音楽に
目を閉じて
その浮遊感に身をゆだねる
落ちていくのに
浮かんでるなんて
頭が痛くて早退したら
近所のカフェで宇宙戦艦が
かかってた
「ヤーマートゥー!」
発音が甘いな親父
コーヒーも甘いがな
全てを知りたいと
カプセルの赤子が泣いている
その声の意味は分かるよ
それでも
出逢ったものを信じるしかないんだ
もう泣かないで
世界の写真をあげるから
....
私は蜜を吸い
毒蛾になって
篝火に
吸い込まれた
海の写真
手のなかでロウソクが燃える
傘の下で雨に濡れる
コントロールパッドを
落として目が覚めた
離れても一緒にしようと
きみが買ってきてくれた
オンラインゲーム
薪を売って布を染めて
おそろいの服を着て
親切な騎士の人に馬をもらったり
....
あの冬の雪だるまを
冷凍庫から出して
溶かした
新しい夏を迎えるために
全部
捨てようとした
ある町を歩いていたとき
黒いスーツがアスファルトに
うつぶせのまま倒れていた
暑い日だった
私はすこしためらってから話しかけた
「大丈夫ですか?」と紳士的に
だけど返事はなかった
....
誰も知らない
メールアドレスの
受信ボタンを
押す
一方向の通信
新芽が風にゆれ
幹を雨がつたい
葉を透明に照らす
枯れ散り重なり舞い
枝は背に雪を積む
折り畳んだ歳月
湿度計の硝子戸
夜を待つ樫材の少年
深海からの蔦漆
穢れない銀の霧吹き
この島の
タルタロスの迷宮
漁船を奪い
流れ着く11人と半神
稜線を重ねた指が
すこしずつ離れていく
外に出て
溺れそうになったとき
つかんだ手
親子みたいに
恋人みたいに
いつかいなくなるんだね
きみも
チクタク
二人は夕方になると左岸を歩き
テトラポットの廃棄場で
私を待った
髪が長い白
歩けない黒
私の姿をみとめると
白が車椅子を押して
近づいてくる
胸に水筒を抱いた黒が
おかえりなさ ....
先日、仕事でね
きみの地元に行ったんだ
左岸通りを歩いていたら
きみの白いのと
黒いバージョンに出会ったよ
そっくりだったから
おどろいてね
きみは
三つ子だったんだね
あなたは ....
木を切り
ツタを編み
手作りの桶で海水を汲み
海を分解する
砂にまみれた
翳す手を開いて
太陽を分解する
人に触れ
体温を奪い
鉄を赤く燃やす
陽が落ち闇の中
手 ....
小粒が回る水面の
鈴木姉妹がかけていく
庭に並べた望遠鏡は虫干しかいと
向かいのジジイが問う
ああそうだよ
ほんなら嵐がくればええなっ!
なぬっ!
たばこ屋の自販機の影で
子供 ....
重力がはがれ
赤く染まった朝
彗星を固定したまま
防衛システムから
重水素の光が抜けていく
ほら、鉱石の
チューリップが砕けるよ
会いにいけば会える人に
会わないまま人生は終わる
会いたいのに
どうしてそんなことに
なるんだろう
家に帰ると
種をとる用に買っておいた
300円のトマトを
流しの前で ....
きみの手に
粘菌がついてるよ
銀河は渡らずに
ぼくの手で
拭けばいいよ
リキッドファンデーションの彼方へ
そんなにたくさん持ってて
歩けるの
私はあなたの秘密
平気だから
エリザベスを飲みましょう
ミサイルでもロケットでも
なんでもいいから
私をつれていって
光の塔
グー ....
散らかった部屋に磁石を投げ
ロープで手繰り寄せると
首の長い釘が引っついてくる
片付けないでと張り紙された
思春期の部屋
鍵のかわりに挟まれた紙片を
慎重に戻し
スリッパを履く母親
....
残りの寿命と引換に
アメリカの大統領になれるとしたら?
そんなのは馬鹿げたことだよって笑う
きみはずっと
健康的だって思うけど
答えを知らないから
手を上げるね
無鉄砲で
....
母は肉体と魂が徐々に離れていくものだと言った
こうして話をしているときにも
食事をしているあいだにも
離れていくのだと
だから私たち姉妹は
祈りはそれを遅らせるものだと思っていた
不思 ....
花火に行った
明るいうちに待ち合わせをして、商店街を歩いた
明日のお祭りの準備をする人たち
今夜の花火の場所とりをする人たち
古本屋に寄ってみる私たち
数百の単様な飾り
「シーモア序章 ....
エンジンを切り 翼を風にのせた
吸気口を閉じて
機体を上昇気流に入れる
サンドウィッチを
縦に食べるような奴だった
トマトを抜いて・・
昔よくこうして飛んだよな と
風防が揺れる ....
地元に帰る電車で
プロポーズの言葉を考えていた
別れた恋人への第一声に
ふさわしくないことは分かってる
でも
一番伝えたいことから話したかった
真実だけを話したかった
やっと会えるのに
....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
0.41sec.