重力を入れたポットが
加速しないように
減速しすぎないように
飛んでる
月は火星のように赤く溶け始めて
人のいない地球は緑色だった
空が消えて海が浮かび
サテライトの寿命が点滅す ....
ミニバンをドライブインに停めた
好きなものを食べなさいと言った
電話してくるからと席を離れ
子供たちを捨てて逃げた
ドアを閉めると大きな音がした
ハンドルを握る手が震えた
もっと離れた ....
7
列車は一時間遅れで駅に着いた
駅員に辻馬車の手配を頼む
行き先を告げると
あのお屋敷にはもう誰も住んでおりませんが
と御者が問うので
私は構わないと頷き
門の所までで良い ....
ないものを
あることにする
あるものを
ないことにする
私たち姉妹は嘘つきだった
なんでも切れるナイフのように
いつも嘘を手に持っていた姉
風船のように嘘をつき続ける私
....
寺院で騒ぎがあったらしい
昨日から兄貴が帰ってこない
女を手引きするだけの簡単な仕事だと
銃を置いたまま出ていった
雨が上がった裏庭で
濡れた望遠鏡が星を落としてる
対岸を覗く ....
柱の中のあなたが
振動する
生まれ変わらないように
焚かれ続ける炎
こんな水晶で固めて
留めておかなければならぬほど
恐れられた
私の妹
薄闇に線を引けば開き
素足で踏む ....
飼い猫の毛が逆立ち
逆さに降る雨粒が月を濡らす
冬に失った体温を戻そうと
白く四角い出窓から
春の粒子が舞い込んでくる
対岸の兄弟は庭先で麻を育み
買ったばかりの銃を磨く
幼い頃 ....
一人だけホテルに泊まらず
テント暮らしのあなたは
私と同じね
私も中学生の頃
今よりずっと幼く見られたから
子供料金で電車に乗っていたのよ
そのお金で本を買ったり
駅のホーム ....
技術水準だけで言えば
既に私たちは働かなくても食べていける
次の水準になれば
労働という概念そのものが消える
私たちは生きるために必要な要素を
減らし続けてきた
寒くても死なな ....
早すぎた春の収容所
鉄格子が霧雨に濡れている
彼らの髪を切るのが
仕事だった
6026
最後の人間が死んで
機械たちはこの地球を去った
残された都市を歩いているのは
ゾンビの群だけだ
あんなに瓦礫を積んで
何を探しているのだろう?
9158
望遠鏡を覗く ....
わたしは確実に積み重ねていく一歩一歩よりも
どこからジャンプしたのかわからなくなるくらい
高く飛べる魔法がほしい
わたしたちは折れた木
生長はもうしない
わたしたちは老いた者
遅いが近くで遠くにむかう
暗闇の合間に
消えゆくものを作る
未来に共感しながら
先制攻撃に頼る
最後の敗北 ....
雨に濡れた砂浜にビニール袋を敷いて
途切れなく続く紫の波濤を眺めていると
運動場の端にある雲梯の下で出会った
一匹のコガネムシのことを思い出した
あの頃の私は手に取るように虫の ....
私たちだけの言葉で検索して
webアーカイブに残された
掲示板を探してね
全部で100ある質問に
キーボードで答えてね
送信するを押したら
このページは存在しませんって表示されるけ ....
見上げると
天井に氷針ができていた
草で覆った隙間から
冷気が流れてくる
エイミーは
左手で剣を探り
胸当てのオニキスを抱いた
火は永遠にある
出口のない
雪に覆われた島
....
彼女は撃たれて横向きに倒れた
一瞬、背中と胸から血が噴き出した
それから
泥に沈んでいった
永遠の数分
俺は車輌の下に這いつくばった
いつも仏頂面で
誰とも親しくなろうと ....
砂は空を見る
短い時の嵐
過去と未来に分たれて
3分の1が残る
命が邪魔をする
エンタープライズに
人間は載らない
目を閉じると
空が緑の惑星にいた
土星のような縞模様
霧状生物が飛竜を捕食する
隣で寝ているあなたは
私の死に気付かない
外は雪にならない雨
人生が始まる
また
....
あなたは月に向かって銃を撃つ
バン、バン、バンと三発
これでクレーターが増えたなと言って
踵で火を消す
車のキーを投げて寄越し
アカプルコに行けと笑う
弾倉を変えて
煙草に火をつ ....
雪原で凍った
抜けないままの靴
住みついた雪ネズミ
旅の二日目。波止場で追い剥ぎに遭い
荷物をすべて失う。
迷って左を選んだのが致命的だった。
彼らはズボンとシャツを投げてよこし
(下着は返してくれなかった)
生きたければここに行け、と紙切れ ....
爆縮した空気の壁に隔てられ
互いの声は聞こえない
もうすぐどちらかが消える
記憶がノイズになっていく
あの夜つないだ手をはなさないように
ぎゅっと目をつぶる
....
少女は文字が読めない
言葉も話せない
前の世界で忘れたことだから
けれど少女は本を開き
なにかを読み取っている
科学という盗掘家の
運び手は荷物より小さい
冷えすぎたレコードを温めて
針をのせる
珈琲の匂いを逃がすように
少しだけ窓を開けた
庭の木立から
ザクザクと音がする
雪を掘って
ドングリを食べてるのよ
起きてきた姉が言う
私たちが戻らなくなったら
ここも ....
今年は喪中の葉書が多いねと
年賀状を印刷しながら姉が言う
時々色を滲ませながら
古いプリンターがウィーンと動いてる
すこし早めのクリスマスケーキを切り分けて
マシュー・マコノヒーの映 ....
凍って開かない窓を
ぬるま湯で拭く
掃除機が編み針を吸い込んだ
冬眠を急ぐ熊のように
予定通りにしないと気の済まない姉たちが
雪の中で車を洗い
居間にツリーを飾りつけてる
....
石が
雪に沈む
生命が付着する
死んだ私の指先に
一匹の優しい蝿がとまる
あなたはアンプルの血を
冷蔵庫に入れて
時々ゆらすけれど
やがてそれは固まって
動かなくなる
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