湿っている。
その生々しさに、ああ、と声が漏れる。
ゆらゆらと揺れる自分を顰め
興味の薄れた容れ物を眇め
値を付け飼う生き物を眺め
未だ取り残された世界に潜め
飢えとは、喉を突き破 ....
いつからか、記憶が上書きされにくくなった。
あれは去年の夏か、一昨年の夏か、動機は覚えている。楽しかったことも。出来事も。
初めての行為は、いつも、楽しい。初めての出会いも。初めての場所も ....
いつか
遠い昔の夜
暗い海の
浮かぶ月に例えてくれた
何も残さない
わたしの体を抱いて
その透明なまぶたでは
すべてが見えてしまうね と
力なくゆだねる
その体は
いつか
水にな ....
まず手前、そのぎりぎりに
ふちどるように ほしい
こぼれおちるまえの
なみだの ばしょ
たくさんの
ちいさな ゆれ
それはためなければいけない
だえん は まんべんなく
ちりば ....
夏はいつも消化されない、花、を、まとい、非常階段、の、やさしい螺旋のような、身体を締め付けるいくつかのものを、ていねい、に、緩め解きながら、ささやきは枯れながらもつづく。
これは出口なのか
....
傲慢な蒼さに
突き刺されて肌が痛い
高揚とするのが
負けたようで憎い
潮が照り返す午後
子供は競う
空の青さは海を
上手に飼いならしている
渚は囁きを止めない
無意識 ....
ぽつぽつと飛び交う
耳障りな羽音
乾き損ねたコールタールに
再び水を打つ
門をくぐれば
生臭い土の香り
産まれ朽ち
吸い上げられる
老いた桜の木は切られ
残った切り株から
....
無邪気にテストする
くちびるのように
やわらかく指をあてがわれ
そのアンプルは甘いですか?
呼吸困難になりませんか?
シーツの色は
私が決めてもいいですか?
ベッドの上だけの
女王様は乗り気ではなくて
ベッドの上でも
いつでも
私はねこになって
あくびをして顔を洗いたい
巡回も真剣なさんぽで
時々、サザエさんに追われ
時々、サービスで撫 ....
しれつな戦い
第三コーナーの男
うっかり
右足がこぼれた
ひっくり返って回転して
しぶき
あげて
しぶりだす前足
しぼりだす詐欺師
「ちょっと!よだれよだれ!」
黙れ
....
つれづれと語る
過去の惨敗
酔いしれるわたしに
鞭を打つ
「今すぐ終わらせてこい」
欲しいものは
そんなものじゃない
そいつを
羨ましいとは思わない
今すぐ終わらせてこい ....
そばだてた時間の片隅が
たゆたう雲の尾ひれのように
いつかちぎれて消えてくことを
待っているかのようだ
静かに
寄せ集めて形を整える癖は
大人になったはずの今でも
あっさりと明日 ....
デリカテッセンを観た後
彼女はその気になってうらがえしにキスをした
とても奇妙だった
奇妙だったが言えなかった僕は
とても臆病だった
* * * * *
それはちょうど夕食の時間に ....
『かしつ』
いたいよ
ふさがれて
泡になる
しゅんしゅんと
ことばが
やけに
つめたくて
さらさらと
背骨が
こぼれる
音
が
する
だから
きみでは ....
決行の日
せんたくを間違えないようにする
柔軟材は嫌いだ
添加されたことばを充分にすすげない
その使用法が嫌いだ
もうあらわれないのかな、ヒーロー
始発が動き出す音を聞いて ....
しがないの
皮膚のうちがわでピシーパシーと速球と直球が電気信号みたいにせわしくて
私はなんだか むずむずと空っぽになる
夜な夜な
世界のはてを切実に望んでいるのだけれど
胸を張って言えな ....
からだが
ちいさくぶんれつして
ゆるい葛湯のなかで
しびれてしまった
熱いコーヒーで
眼を覚ませと繰り返して
無駄
口腔を越えて
咽頭を流れ
食道に向かうけれど
感じる ....
三食昼寝つき
おやつもつき
まいにち決まったお散歩コース
決定権は
打算と好奇心に基づいているため
決まったように見えなくとも
忠実なのである
初潮を ....
まずはね、気配だけ。
しかも寝ようとした時なんて無防備でイイ感じ。まわりをさー、ぐるぐる歩いてみるんだよ。そそ、毎日。意外と気付くんだよねー。物音とかにビンカンになっちゃったりさー。オモシロいんだっ ....
だってさー、アタシのためにみんな泣いてるんだよ?愛されてたんだなーって勘違いだってするよ。たくさんの人の涙見てたらさー、ちょっとカンショーなわけよ。だからさ、最後に1回だけでも姿見せてあげたいなーんて ....
黒胡麻のソースに
アイを浮かべて
あなたへ差し出してみたのだけど
味わうことなく流し込み
むしろ
水風船でも飲みこむように
いやいやむしろ
うどんを噛まずに一本吸い取るか ....
「憧れ」
とか、そんなもの残ってたわけではないけれど
ぶちまけられたのはただの蛋白質であり
絡み付いているのもただの蛋白質だ
余興でもなんでもない内訳は
太陽の光が届かないというだけで
狂 ....
ある晴れた日をくびかざりにする
そしてきみを置き去りにして
スキップする
ホップステップ じゃーんぷ!
してみる
しみる
かわいたからしみただけ
だれにも同情されないなみだは
ひとみを ....
夜がふけるとせいせいする
眠れない夜に
柵を飛び越えるのが
仕事なのだが
実にだるい
たまに
あまりにも真剣で
何百とジャンプを強いられ
数えるほうも大変だろうが
こっち ....
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