(「影の無いおとことオシの娘が山あいの廃屋に住んでいる。」と伝え聞いた。)
おとこは、月を空から引き剥がしたいと思った。
大事なひとが喪われた今、なぜコウコウと輝くのか?と、
うらみがまし ....
帰ると、きみがいない部屋で窓を壊すから
風が気持ちよくって
ぼくは
失くした物は見つかるはずだと思う
ドアの外で物音がして
開けるけど姿も見えない いないのだ
夕陽の薄暗さ、なまぬ ....
一日が終わった、
その後にようやく新しい時間が始まる。
ぼくはよくそういう気分になる。
それがどんな一日でも、早く忘れてしまいたい。
まっしろなページを言葉で埋めたくなる。
書く、その一 ....
三鷹の月明かりの中 うさぎが跳ねていく
そのまま空まで
あちらは烏山 寺のあるほう
僕は街明かりの中 無事であるとはどういうことか
手紙の返事を書けないでいて
仮 ....
うららか春の陽 野原を
転がって
やって来て 会いに来て
あいに きみは藍に染まる
遠くの平原でいかづちが教える
きみの声がひびく 頭蓋の奥の湖で
....
雨の日は空を見上げてぐるりと回れば渦巻いて
瞬間の輝き保てず傘を開く音を聞いた
ナッツの袋は雨に濡れてさっきからキャンディーは口の中溶けようとしない
ごつごつした指ときみは言っていた ....
夢が降ってくる
待ちわびた 落葉の機会
蒼く 空に 近かったころ
たじろいで いられた
ペインティングナイフで薄く延ばされた雲
ひらめく 鳥の声
切り開 ....
沈黙が懐かしい セミの声
ぼくはここにあるもので満足しようとしている
熱帯のような通り雨の中
出かけようと支度するきみの、
理由を知りたい
....
君に会いたいのは 夢を
差し込むから ぼくの額からきみのおでこへ
僕がここにいるのは決められたから
赤の他人に 座っていろと命令を受けたから
そのまま留まり続ければ
春訪れるだろうと ....
仄暗い喫茶店で握り締めた手を開くと光りが逃げてゆく
散り散りに
光りの粒たちを追って暗闇を見つめ集めてきたんだった
ひとつふたつと
硬く握りしめて
逃がさないよ と言うのだった
....
あなたの手には理想があって
手を握ればわたしもその結晶を感じていられた
あなたの目には喜びがあって
見つめればわたしにもその火が点った
わたしの愛しい人
でも
失った
そのひとを
だか ....
くつろいで
恐竜の目覚めるのを待ちます
朝はまだ明けきらず
草の葉は湿っていて
庭に出て あくびを食べます
太陽と面を付き合わせれば
犬の鎖がじゃらじゃら
散歩をねだり
草っぱらの ....
部屋の隅から流れ出した水が
青く揺らめいて
わたしを覆ってゆく
もうなにも聴こえないように
もう何も感じないよ、とつぶやいてみると
すこし笑えた
口元からポコポコと
泡が出て行っ ....
とりあえず、
と言って。 きみは傘をもって家を出る。
蝸牛と、雨 みごとなコンビネーション。
はるかさきに 晴れた青がみえる。海とそらと。ゆくえ。
....
夢よ、ゆめ。わたしはあなたのまぼろし。
いつでもそう つたえていたのに きづかないあなた
花はハナ そのままできれいだ。そう言うあなた
あおぞらに くもとけむりがたなびく
....
薄情な 青
鳥 の群れが横切って yokogitte往く
「帰すべき者へ、
おれたちは告げる。」と鳴いている
ぼくは夢を見て起きた。あれはなんだったんだろう?
こころ ....
夜が、
揺れています。
なみだ を
受ける器です。
それは
....
《あなたがくれた》
心 あなたの 未来を照らす。
その ぎせい 待ち望んで
《夢》 ....
あなたがくれた
あなたの
心 その ぎせい 夢
を みた ことが
明かりを ....
街をあるいていると
たましいに出会います。
ふわふわしています。羊みたいです。
ここから冒険をはじめます。ロード オブ ロード。
こえをかけて、ふにゃふにゃにして持 ....
ちいさな椅子やちいさなドア、
そういうものを見ると ちいさなひとびとを想像して可笑しくなってしまう
想像の 霞のかかった世界で彼らは走り廻ります
食事 ....
ちいさなものを拾いました
街灯の下では真珠のように見えました
家に帰ってながめるとパチンコの玉のようでした
六畳間の蛍光灯のせいです
蛍光灯のせいにしたので
もういちど
見直してあ ....
花が咲く。
笑ってみせて、とあなたにもとめて。
応えてくれたあなたのえがお。
華が散る。
疵付けて跡を残して、もとめすぎて。
ゆっくりと思い出が剥がれ落ちてく。
そのなみだ。 ....
瞳をとじて あかい海
金魚の鉢に くちづける
からからの ぷらんくとんを ばらまくと
ゆれる水面に さざめくひかり
プランクトンはぷくぷくみずを吸い込んで、
ぶくぶく息を吐 ....
はたらくりっぽうたいにであったあるあさ、ぼくはあさごはんがわりのえきたいをのどにながしこみ、はたらきにでるひとびとをしりめに、あるいた。
ひみつをもったばかりのぼくはとてもおちつかなく、りっぽうたい ....
ぼくらがこどもを産むのは当然で
それはぼくらが夢のこどもを
たくさん
胸の内に飼っているからだ
ときどき、芽を出すそれらは
波のように
人生を翻弄し、ぼくらをゆりかごへと戻す
それで ....
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