右に左に揺れる洗濯機が嬉しそうで
何が嬉しいの?と聞いたら
右に左に洗濯物が
逃げ惑うのが綺麗なの
と答えた
水の音は気にならない?
少し気になる
踊っているのかもしれない ....
私を洪水に追いやった姉がいて
いつも酷い頭痛に悩まされる
スプーンや菜箸をやおらと持ち上げる習慣のせいで
編纂した辞書は全部私の産声で埋め尽くされた
おかげで生きることは大変な仕事になった
....
郵便配達員のしていた服装を
頭のてっぺんからつま先までも
覚えている限り言葉にしながら
ねえもっと夢のある話をして、とせがむ
そのあと決まって
死ぬって甘いよね、とも言っていた
持 ....
詩を忘れ始めることで
支度を始める
長い冬に備え、委ねる先を探す
靴は有り合わせでいいか
上着は派手過ぎないか
待つ人はいるか
誰か先に行かないか
詩を忘れ始めたら
お腹いっぱ ....
幌馬車にゆられ
ぽつんと大地に置かれた
ゆられ、ゆられて
何処でもない場所に産み落とされた
幌馬車の上で巡り会う
出会いと同時に別れの挨拶もした
私に仕事を与えてください
信じる ....
ちょっと悲しくなった
ちょっとだけだと思った
作りかけの粘土が乾かなくて
まだ柔らかいから
まだ自由
今なら行っておいでと
いくらでも言えるのに
何処へでも行っておいでと
どうして言っ ....
この秋最初のセーターは
箪笥の匂いがまだ取れなくて
くすんだ色したカマキリが
通りの向こうをしきりに見てる
何をそんなに見ているの?
一緒に見るけどわからない
私もどうやら枯れてきた
....
最初に好きな色を決める
ほんとはどれでもいいんだけれど
聞かれたら困るから決める
駅までの道のりがいつもより遠くて
それでもいつもより頼もしく見えるから
挨拶ちゃんと言えるかな
ネクタ ....
おはようを言わない朝もある
おやすみに似合わない夜もあれば
留めておきたくない風景もある
鉄塔を怖がる鳥もいる
拾われて来た子のまま育てられた
白と黒、光と闇、どちらの味方もしなかっ ....
蜂蜜の小瓶にバゲットは半分の長さ
ダイハツの看板を左に曲がる
アジサシの悪口散々聞かされて
戻らなくちゃ、森だか海だか
案山子の着換えを先に済ませたら
右足あるかちゃんと確認して
帰りは安 ....
この場所で根を張ったから逃げられず
だからホテルは優しいのです
堂々と孤独になった暁に
戻っておいで魚の私
何気ないニュースでやっと知る彼の
身長体型年齢までも
....
パリパリのラスク
粉がこぼれて
僕のスカート汚した
僕のお気に入りのスカート
この地球を産んだという
大層立派なスカート
夜空に翻る
白い足がちらりとのぞく
宇宙の一部も隠してしまう
....
くもりのちあめのひのしんごうきは
あかすぎる、と
あおすぎる、が、あって
きいろだけは、すぎないから
ちょっとだけうれしそう
わたしたちはおもちゃばこのなか
うみすてられて、おいてかれ ....
毎日毎日
目にしているのに
行ったことのない場所がある
立ったことのない土地がある
踏んだことのない石がある
電車がやって来たけれど
それは反対側のホームだった
知っているのに知 ....
鳥たちに怒られながら、桑の実を摘む
抱えたボウルに次々とほうりながら
これは私のものよと、何度言っても怒られる
何度も何度も、鳥たちは同じことを言う
こちらも負けじと言い返す
だけどすぐに疲 ....
食レポのついでみたいに誉められて
うんと一言また愛される
真実が口を開いて出ていった
実家があると聞いてなかった
声立てず「やはらかなり」と呟けば
許されていた時代が ....
君がマイナンバーカードを必要としたのと同じくらいに僕は
テレフォンカードを持たない君を必要とした
向日葵が刈られたばかりの空にハルジオンが広がって傍聴席は悲観的観測で埋め尽くされた
都会によくあ ....
それは彼方からやってきた
アントニオ猪木ってやつだ
とても大きな塊で
サンプラーザでの生誕祭
ぼくは警備員だった
客席通路のまんなかあたり
猪木は全速力で走ってきた
ぼくは猪木とぶつ ....
友だちは欲しかったけど
仲良くなると怖いから駄目
正しいことは知っているけど
息が苦しくなるからお終い
薬じゃ治らない恋をした
私から私へと手に手を握って
大丈夫だよと言って欲しかった ....
これは骨
これは皮膚
血もある肉も内臓もある
食べたことはないけど
食べたら美味しいかもしれない
これはぶよぶよ
これはどろどろ
よくわからない生き物で始まった
すぐに名前がつけら ....
素晴らしい人に育って
素晴らしい大人になって
素晴らしいでしょ?
#短歌
りんりんとピンポンダッシュで逃げ遅れ
鳴き続けるは鈴の黄昏れ
煌々と動脈だけで生きてます
誰 ....
イルバ赤坂ラウンジ是枝様
いつもお世話になっております
早速ですが手短にご報告申し上げます
先日の英雄ひよこ脱走の件につきまして
この度は大変ご迷惑をおかけ致しました
まさか一匹に留まら ....
火山が好きよ、と言ったら
火山をプレゼントしてくれたあの人
もっと僕を怒らせてくれたら
もっと凄いのあげるって
だから悪口これでもかって
言ってあげた
余りの怒りで真っ赤に燃えるあの人 ....
椅子が「座って」と言った
椅子は昔の私だった
あの時座ってあげられなくて
ごめんねと返事して
腰を下ろした
テーブルが「果物を置いて」と言った
私は温かなストロガノフが食べたかった
....
もうじき目を閉じるわ
ちょうどいい頃合い見計らって
覚え切れなかったステップ
まだあるけど続きはあちらで
幸せよりも幾分鮮やかに
回る走馬灯の薄明かり
聞こえてくるよ、産声が
歌って ....
溶けていく一番長い一日も
なんてことない日の何処かへと
傘の柄が折れたら水の音がして
この血どこから湧き出てくるか
暮れかかる窓の外側よじのぼる
かえるよ太れチョコレートパフ ....
理由もなく濡れるのが嫌で
だから雨が嫌い
蔑まれてでも私を救ってくれた
その人から逃げ出して
遠い軒の下
晴れ間を待っている
だから世界に雨が降る
だから世界は濡れたがる
今日 ....
何処行こうとしてたの?
返事もなしに行っちゃった
さっきまで泣いてたような目をしてさ
真っ直ぐ前を見て
気になって振り向いたけど
もう見えなくなっていた
きっと時代が連れ去った
....
うっかり足を抜いた
もう戻せない
この街はまだ元気
悪口だって言っちゃう
後で笑って誤魔化すつもりだった
うっかり両手も抜いた
鏡より先に知ってしまった
本当の姿
自由は醜い
自 ....
知ってる人がいる
知ってる分だけ見つめる
知らない部分が話しかける
知って欲しいと言いたげに
逃げる私を捕まえる
自問自答の雨あられ
記憶は既にびしょ濡れで
街は途端に頼りない
ど ....
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