金魚薄弱/A道化
人の指と
繋がり忘れた指に
連なる透明巾着の紐は食い込まず
わたし
一寸金魚の軽さを恨んだ
水の純でわたしを責めた
駆け出すしかなかった、ある夏の夜
透明巾着の、同じひとつの水
を、連れて駆ける赤いわたしと
水に、連れられてそよぐ赤い金魚との
揺らぎようの重なりは
ただ
水の音としてしか響かず
わたしと金魚は
妙なる、妙なる、わたしと金魚の位置にて揺らぎ
いつか、夏の夜にて星になるその前に
既に、妙なる、夏の赤い星座として位置し
揺らぎながら重なり、重なりながら響き
嗚呼、妙なるかな、妙なるかな
けれど
妙なる位置にありながら
人の指と
繋がり忘れた指は満ちず
満ちずに駆け、嗚呼、わたし
金魚の軽さを一寸恨むのだった
水の純でわたしを責めるのだった
2004.8.25.
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