童話風味/北乃ゆき
 
−これが最後の食事にしよう

木編みのバスケットに
お手製のブルーベリーケーキを入れて
もみの木に囲まれた坂道を下って
大好きなあなたのもとに
ランチをしにむかいます

−君には申し訳ないと思う

青空と深緑の木々の境目が
パステル画のように穏やかで
子供のころに読んだ絵本達に紛れ込んだみたい

−他に一緒に暮らしたい人がいるんだ

しあわせだわ

空に向かって私はささやく

しあわせよ

童話の主人公のように無邪気につぶやく

−すまないと思っている

だいすきな
あなたのもとに
もみの木に囲まれた坂道を下って
足取りは軽やかに
  
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