長期休夏/霜天
 
いつだって夏は長かった
測量を終えたばかりのヘルメット姿が
今年もだ、とかそんなことを言っていた
確認したがるのは何故だろう
何日と、何時間何分何秒
それを知ったところで
今日も君は
左腕が動かないの、と
部屋に閉じこもり
僕は僕で
朝から吐き気がするよと
珈琲だけを飲んで
文字の間を泳ぐ
夏バテ、とか存在するものに逃げずに
ただ無為に、一日を遊覧した
それを繰り返した
二人はそれだけだった


 *


電話には誰も出なかったし
掛かってきても出るつもりもなかった
街は大きな空白になっている
寄り添っていた人々は離れ離れて
休む夏に寄り掛かって
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