春にうまれたあなたのこと/藤丘 香子
 


誰かが孤独の形だと言っていたけれど
わたしには孔雀に見える
一羽であったり二羽であったりする

そうして
掴みどころのない寂しさの中で
窓硝子の向こうの
ペンタスに灯る星を見ている





三キロ先のチョコレート屋まで
犬のロビンと散歩をする

道々でわたしは顔見知りに会釈し
犬同士は
じゃれたりすましたりしている

秋を貫く両袖には楓が燃えて
その真ん中に続くなだらかな小径
わたしの足は
再び戻ってくる道にあり
新しい道の上にもあり
そうしてわたしもひと時
旅人の仲間入りをする

色付き始めた道しるべは
再生の種だ

それは
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