〈芝居〉『明日』 青年座 2005/08/13/白糸雅樹
ベートーヴェンのピアノソナタ第8番『悲愴』の第2楽章がピアノ三重奏によって奏でられるうちに、静かに下手にひとりの男が現われる。やがて上手からもひとりの女が現われる。そうして次々と現われた登場人物たちは、中央の衝立の前の一段高くなったところで互いに挨拶を始める。始めはパントマイムで、そして音楽が弱まっていくにつれて、最初はごくごくかすかな声で、それが不自然ではなく徐々に大きくなっていき、音楽がやんでからは普通に挨拶が観客にも聞き取れるようになる。パントマイムの時点から、互いの正座してのとてもとても丁寧なお辞儀や、そのうちのひとりが留袖であることから、それが婚礼での顔合わせであることが判る。(芝居の
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